自然が好き、アウトドアが好きな人はいませんか? 今までやったことのないことに挑戦したい人、どんな所でも生きていけるスキルを身に付けたい人、そんな人たちにおすすめしたいのが竹です!
竹は結べばテーブルや椅子にもなり、割けばかごやバックにもなります。筆者は普段、目にも留めていなかった竹が、使い方によって変幻自在に形を変える竹の汎用性に驚きました。
そこで今回は竹を使ってご飯を炊いてみました。竹でご飯が炊けるようになればいざという時、役に立つかもしれません。それだけでなく、自然の中で竹を使った工作と調理から学べることはたくさんありますよ。
竹を切って器を作ろう
太い竹の節間が鍋代わりになる
まずは太い竹を準備しましょう。写真のように切り込みを入れて器を作っていきます。節と節の間を鍋として使用するので、節の外側はご飯が炊きやすい長さで切り落とします。
蓋を作ろう
続いてのこぎりとナタを使って鍋の蓋を作っていきます。木と違って竹は繊維が縦に通っているので、繊維と直角方向に切り込みをいれれば、あとは繊維方向に割り落とすことができます。
- 繊維を切るように節間に2つ切り込みを入れる
- 縦の繊維に沿ってナタを入れて蓋を割り落とす
コツは節間に2つ切り込みの位置を揃えること。位置を揃えてしっかりと切り込みを入れることで、きれいに割り落とすことができます。割り落とす時は、切り込みを入れた少し内側にナタを置いて、ハンマーで叩くのがポイントです。
竹が転がらないように足場を安定させる
蓋を作っただけだと転がってしまうので、足場を安定させます。
- 蓋を付ける反対側にノコギリで切り込みを入れる
- 竹を縦にして、ナタで割り落とす
- 安定するかどうかを確認する
ノコギリで切り込みを入れていない所をナタで割ると、鍋部分にも亀裂が入ってしまうので注意してください。最後に、竹の中には切り屑が入っているのでシャワーで洗いましょう。衛生的にも洗った方が気持ちが良いですね。
好きな具材を中に入れる
お米の水量は少なめが良い
お米を炊くときの水の量は、通常お米と同量(1合180mL・1/2合90mL・1/3合60mL)といわれますが、水気のある具材をトッピングする際には少し水の量を減らすと上手く炊けます。べちゃべちゃのおかゆにしないために水の量を5~15mL程度減らすと良いですね。計量カップがなくても、米と水が同量ということを覚えておけばコップや竹の器等でも応用できます。
お米は炊くと想像以上に膨らみます。竹の器の大きさにもよりますが入れすぎると溢れかえるので注意してくださいね。また、お米を入れすぎると火加減にムラができるので、端っこが上手く炊けないなんてことも。多くても1/2合くらいが良いですね。1人分で作る時は、1/3合が丁度良いです。写真のようにお米を入れたら、なだらかになるように広げましょう。
好きな具材と調味料を入れて
お米だけで炊くのも良いですが、トッピングをするのも楽しいです。人それぞれ入れるものを変えていけば見た目も華やかになり、味のバリエーションも様々に。出来上がりが楽しみですね。
今回筆者は、人参・ズッキーニ・トマト・スナップエンドウ・ディルなどの野菜、白身魚の身、海藻等を入れて味付けに塩こうじ・柚子胡椒・オリーブオイルを加えました。そのままでも美味しそうな見た目になり、テンションもマックスに。出来上がりはどんな味になるのでしょうか。
竹ごはんの炊き方
火加減は中火で沸騰したら弱火
今回はU字溝で火を起こして炊きました。火力は直接炎が当たらないくらいの中火が良いですね。中が沸騰してきたら弱火にシフトしていきます。弱火にシフトしてから10~15分加熱すれば出来上がりです。中が沸騰しているかどうかが分からないという人に向けて、見分け方を2つ紹介します。
- 【湯気を見る方法】竹の蓋ではきっちりと隙間なく閉められないので隙間から湯気が出てきます。ポーッと激しく湯気が出始めたら沸騰のサインです。
- 【沸騰の振動を感じ取る方法】棒を鍋にあてると、沸騰していればガタガタと振動を感じることができます。これは、飯盒でご飯を炊く際によく用いられる方法です。
炊飯器以外でご飯を炊いたことが無いという人も多いと思います。今回は竹が鍋代わりになるのに加えて、薪や炭ではガスやIHのように火力が安定しないので、上手な火のコントロールが必要です。鍋でご飯を炊いたことがない人は、竹でご飯を炊く前にまずは家にある鍋で炊いてみてください。火加減や時間などの感覚がつかめますよ。
竹の油が燃える
実は、竹は油分が多い植物の1つ。竹かごのような竹細工には油抜きをした竹が使用されています。油抜きをすると、汚れが取れて耐久性とツヤがアップするそうです。竹に含まれる油を竹油という生薬にしたものもあり、竹の油は想像以上に多く含まれているようです。
竹でご飯を炊くときには油抜きをする必要はありません。しかし、竹でご飯を炊いている時に竹の油に火がつくことが多々あります。火がついた時は一時的に火から離すと鎮火します。多少燃える分には問題ないので、火がついても焦らなくて大丈夫です。
強火だと底に穴が開く
竹でご飯を炊くときに一番難しいのが火加減です。火力が強いと竹ごと燃えてしまい竹の底に穴が開きます。火が弱いといつまでたってもご飯が炊きあがりません。ご飯が半分生っぽい、ご飯を食べようと思ったら底が抜け落ちた、なんてことにならないように火力には十分注意して下さいね。特に、竹の油が燃えることがよくあるので、そのまま竹本体に火が引火しないように火元から距離を離して鎮火させましょう。
竹の香りがするご飯の味は?
完成した様子がこちら。美味しそうに出来上がりました。竹の香りをほのかに感じることができ、魚と野菜の旨みがギュッと凝縮されていてとても美味しかったです。特に、白身魚は身がふっくらしっとりとしていて感動しました。炊いている時には竹の油に火がついてよく燃えていたので、焦げていないか心配していましたが大丈夫でした。ご飯もモチモチで、竹でもご飯を上手く炊くことができるのだと証明できましたね。
反省としては、スナップエンドウのような緑野菜や海藻は具材として向いていなかったことです。加熱時間が長いため、色と食感が悪くなってしまいました。これも勉強ですね。いろんな食材を載せて、自分オリジナルのご飯を炊くのはとても楽しかったです。
食を通して”自分ごと”を増やす
今回は竹でご飯を炊きましたが、この一食に込められている手間はとても大きなものです。その手間の分だけ、自然からたくさんのことを学ぶことができます。
例えば、今回鍋代わりに使用した”竹”はどんな種類があり、どこで育つのでしょうか。普段生活では竹の前を何も考えずに通り過ぎてしまいますよね。竹に焦点を当てて考えたことがある人は少ないと思います。でも、竹で料理をして!と言われたら、竹や自然に対する疑問がたくさん出てきますよね。竹ってどこに生えてるの?どうやって切れば良いの?と分からないことだらけだと思います。自分ごとになってこそ、竹が目に入るようになり、竹に興味が湧きますよね。
竹に限らず、自分ごとにできるものを増やすことはとても重要だと思います。自然のもので作る料理だからこそ、自然のこと、素材のこと、作る過程のことなど新しい発見が次々にあります。ただ食べて美味しいだけの食ではなく、食を通して自然を感じて学んで、自分ごとにして私たちも成長していけますね。
おわりに
いかがでしたか? 今回は、竹でご飯を炊く方法について紹介しました。何かと用途の多い竹ですが、ご飯も炊けるなんてびっくりですね! 筆者はみんなで食べた竹ごはんが忘れられません。是非皆さんも竹を使ってご飯を炊いてみてくださいね。